☆「Ovation」について☆

このコーナーでは「まっし〜やん」の大好きな「Ovation」について、わりとマジメに語ってみようと思います。

もともと「まっし〜やん」はアマチュアバンドでベース弾きだったのですが、転勤でバンド仲間とも離れ、1人で音楽と触れたかったので、アコーステックギターの道に入りました。昔「アドリブ」というフュージョン系の雑誌にギタリストの渡辺香津美さんが持っていた「Ovation Adamas」をず〜っと覚えていて、(でも当時で100万近くしたギターだったのでとても手にすることなど出来なかったギターでした)Adamasは最初は手に入れられなかったけど、「1996コレクターズ」を買ってから一気に「Ovation」への道にハマりこんでしまいました。
でもアコーステックギターのいろんな人のHPを見てても、マーチンやギブソン、またまたヤイリなんかに比べて「Ovation」の評価なんかすごく低いな〜って感じです。「エレアコの代名詞」とか言われながらもアコギ好きの評価はイマイチっておかしいですネ。だからここでは「Ovation」について私と一緒にいろいろ勉強して「Ovation」の良さを皆さんにわかってもらえたらなって思っています。またこのHPを見ていろいろ教えてくれる方、どんどんご意見をお待ちしています。


◎Ovationとは

@Ovationの生い立ち

エレアコの代名詞といわれるようになった「Ovation」ギターですが、その歴史は意外と浅く、1967年に第1号モデルである「バラディーア」が発表されています。もともと「Ovation」はヘリコプター関係の会社である「カーマン・コーポレーション」の楽器製造部門であり、創始者のチャールズ・カーマン氏が若いころからプロ並みのギタリストであったことから、いままでにない技術での楽器製造への取り組みが現在の「Ovatioin」の基礎となっています。ヘリコプターの対振動対策から音の振動の伝わり方技術への応用ということで満更かけ離れたものではないのか、となんとなく納得させられてしまいますネ。また最初に出したモデルはエレアコではなく、アコースティックギターでした。いまでは「Ovation」モデルのほとんどがエレアコであることを考えると、やはり隔世の感があります。エレアコがでたのはそれから2年後のことでした。

AOvationの特徴

色とりどりのボディやちょっと変わった形状など、「Ovation」ギターの特徴はいろいろありますが、以下の点が「Ovation」ギターの特徴だと思われます。

@ラウンドバック構造
優れた強度の「リラコード」という特殊樹脂加工のグラスファイバーがギターのバックに使用され、さらに球面状にすることで音という振動を集中させることが出来るということです。

AインサイドブリッジPU
それ以前はギターのPUは「コンタクトPU」が使われていましたが、ハウリングの問題などの解決をするために「Ovation」ではギターサドルの下にピエゾPUを埋め込みました。これによってハウリングの防止のほかに弦の振動とギタートップの振動の両方を拾うという効果を生み出しています。

Bカーマンバー
ギターのネックの中のトラスロッドを「Ovation」では特殊アルミの枠に入れ、ネックヒール部まで深く挿入することで従来より4倍の強度を得ています。また「Ovation」の5ピースネックも強度を高める目的(見た目の良さも少しあるが)で採用されています。

C「Adamas」トップと「Epaulet」(マルチサウンドホール)
従来のギターではトップ材はスプルースなどの木材が使用されてきました。しかし1975年に登場した「Adamas」で初めて新開発のカーボンファイバーで樺材をサンドした「ファイブロニック・サウンドボード」をトップに使用しました。これは従来の木材に比べて軽くさらにレスポンスが良い、といった特徴があります。またサウンドホールもトップの両肩に小さな穴が複数開けられた「Epaulet(マルチサウンドホール)」(通常のセンターの1つ穴のサウンドホールは「Rosette(シングルサウンドホール)」)が開発され、これはトップの自然な振動を妨げないという効果があるといわれています。「Ovation」のフラッグシップモデルである「Adamas」は当時は技術革新のカタマリだったようです。

BOvationギターのラインナップ

「Ovation」はUSAで製造されるもののほかに廉価版として「Celebrity(現在では韓国で製造)」や「Applause(現在では日本の全音が製造)」があります。ただここではUSA製について触れたいと思います。基本的には3つのタイプに分けられます。

@Adamas
上でも述べたように「Ovation」のフラッグシップモデルです。ヘッドロゴも「Ovation」ではなく「Adamas」と書かれています。トップはファイブロニックサウンドボードでサウンドホールは「Epaulet」です。2000年より「CVT」と「SMT」の2モデルになり、また2002年には「New Adamas」という以前の「AdamasU」に見た目が似たモデルが発売されましたが、やはり以前からあった「SuperAdamas」や「AdamasU」が無くなってしまったのは「Ovation」ファンとしては非常にさびしいものがあります。2002年に復刻版として限定生産されましたが、レギュラーモデルでの復活を待ち望んでいます。

ALegend(系)
トップは木材、サウンドホールは「Rosette」という1号モデルの「バラディーア」からの伝統のモデルです。トップの木材の質や装飾によって呼び名や価格が変わります。グレードの高い方からに以下のようになります。
「Custom Legend」→「Legend」→「Balladeer Special」
また「Ovation」ではナイロン弦を使ったモデルは「Legend Nylon」や「Country Artist」がありますが、いずれもLegend系に入ると考えていいのではないかと思います。

BElite
「Adamas」のトップ材を木材で、という考え方から製作されたモデルです。ですのでトップは木材、サウンドホールは「Epaulet」です。後発ですが「Ovation」と聞くとまずこのタイプを思い浮かべてしまいます。このタイプもLegendと同じようにトップの木材の質や装飾によって呼び名や価格が変わります。グレードの高い方から以下のようになります。
「Custom Elite」→「Elite」→「Elite Special」

Cその他
〇カスタムショップ
通常のモデルに装飾など特別仕様にしたものです。ですのでタイプなどで価格はまちまちです。
〇コレクターズ
1982年から1年に1モデルずつ発表されている「Ovation」にとって実験的な位置づけの限定生産モデルです。新しいプリアンプなどもコレクターズから付けられるケースが多いです。例えば「1996コレクターズ」ではステレオタイプのプリアンプ「HexFx」の登場、翌年の「1997コレクターズ」ではタッチ感応式のプリアンプの搭載など、けっこう意欲的で面白いモデルが多いです。
〇Viper
このモデルはソリッドボディでエレキギターのようですが、やはりPUは「インサイドブリッジ」のピエゾを使っている、いわばエレアコとエレキの中間モデルみたいです。
〇Signature Model
「Ovation」ではミュージシャンの「Signature Model」をいくつか出しています。初代「ジョシュ・ホワイト」モデルですが、まだOvationが初期の頃なので製作数も少なく、私も今までに見たことがありません。よく見かける有名なものとしては「グレン・キャンベル」モデルがありますが、2002年の価格表では「アル・ディミオラ」モデルや最近発売された「メリッサ・エサーリッジ」モデルが掲載されています。また限定生産で日本の「CHAR」モデルや「尾崎豊」モデルも掲載されています。
〇その他
30周年モデルや35周年モデル、また20世紀モデルなど年度に応じた限定モデルなどがあります。また通常タイプのギター以外にもWネックのギターやロングネックのギターもあり、またエレアコベースやマンドリンなども手がけています。

COvation LXシリーズとは

2004年にはOvationは大きな改革をしました。いままで何度か自らの製品の改革を進めてきましたが、根本的にすべてを見直したという点では、1966年以来最も大きな改革となるのがこの「LXシリーズ」の発売です。
上記に書いた基本的な特徴を大幅に見直しされています。その中でも「アドバンスド・ネック・システム」「リラコードGSボウル」「スキャロップド・Xブレーシング」はいずれも長く変えられることがなかったOvation固有の特性を大きく変えたものとなっています。
その他にも、エポーレットのトップへ埋め込んだ「インレイド・エポーレット」や新しいピエゾピックアップの「OCP−1」、それに「OP-Pro」の採用など、あらゆる点で新規性を打ち出しています。
楽器の世界では伝統的な職人の技術ということに評価が高く、「新しい、先進的」というより「古い、伝統的」という価値が高い傾向にあります。ですのでメジャーな楽器メーカーでは長く同じスタイルの製品を売り続けているところが多いのも事実です。
そういった意味では、今回の「LXシリーズ」の発売は「新しい、先進的」という部分を追いかけた部分で非常に評価できると思っています。かつてHONDAが「走る実験室」といわれたように、Ovationも音に対するこだわりを「技術の進歩」で見せて欲しいと思っています。


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